「監督の問題」本城雅人著
大阪のチームで4番を張っていた宇恵康彦はプロ野球を引退後、ワンマンオーナーの小此木に請われ、3年連続最下位の「新潟アイビス」の監督に就任する。覚悟していたとはいえチームは想像以上にダラダラで、キャンプ初日にはベテラン投手の市木が若手を引き連れ、朝帰り。おまけに2人のコーチも仲たがいしていてアタマが痛い。
宇恵はチームを一新するべく、市木をトレードに出し、すべてを定時の5分前に始める「アイビスタイム」を導入。言葉遣いも丁寧にするなど劇薬でチームに緊張感を与えると、わずかながらも変化の兆しが見えてきた。ところが一難去ってまた一難。若い選手との価値観や指導の違い、監督付の美人広報によからぬ噂と、新人監督は次々と困難に見舞われ……。
元スポーツ記者の著者がプロ野球界の天国と地獄をコミカルに描くスポーツエンターテインメント。
(講談社 1500円+税)