世の中の裏の仕組みが分かる大人の教科書
「日本の裏社会 闇の職業図鑑」別冊宝島編集部編著
世の中には3万種近くの職業があるといわれるが、本書はハローワークや職業案内サイトでは決して紹介されない「ワル」系の仕事の内情を解説してくれるイラスト図鑑。
裏社会と聞いて誰もが真っ先に思い浮かべるのがヤクザではなかろうか。でも、彼らの本来の「仕事」とは何なのか。ヤクザの社会も、会社と同じように組長(親分)以下、若頭、本部長、舎弟頭、若頭補佐、舎弟、事務局長、若中、部屋住み、準構成員、ボディーガード、そしてヒットマンと、それぞれの役職に分かれている。役職によって、まったく異なる職業と言っていいほど、その仕事内容は違うそうだ。そんな彼らのそれぞれの仕事を詳述。約0~50万円という住み込み(ヤクザ修業中の若者衆)から、数億~数十億円の組長まで、それぞれの推定年収、仕事上のリスクなども明かす。
ヤクザのほかには、振り込め詐欺や人助けを装って生活保護費を搾取する「囲い屋」、権利のない土地を自分の物のように装い売買契約を交わし金をだまし取る「地面師」などの詐欺系、パチンコ台やパチスロ台の射幸性に制限をかけるROMを不正交換する「カバン屋」などのバクチ系、臓器ブローカーやネットで使うID屋といった密売系など、101の闇の職業を取り上げる。
カード会社に加盟できない風俗店のカード利用を可能にする「カード屋」や、初期費用を必要とする特殊詐欺や闇金融、仕手筋に資金を都合する「金主」、総会屋の遺伝子を継いだネットを利用した「ブラックジャーナリスト」などの存在から、今の世の中の裏の仕組みが浮かび上がり、まさに大人のための社会科の教科書として読める。
ゆめゆめ、本書を手掛かりに転職など、考えないように。
(宝島社 600円+税)