「海馬の尻尾」荻原浩著

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 頼也は、相手を痛めつけることに快感さえ抱く武闘派ヤクザ。そんな手下の暴走を危惧した若頭は、頼也にアルコール依存症の名目で大学病院での検査を命じる。頼也は、すごんでみせてもひるむことなく淡々と診察を進める医師の桐嶋に苛立つが、組長の顔を潰すわけにもいかず、通院をするしかない。

 検査の結果、頼也は反社会性パーソナリティー障害と診断される。桐嶋によると、頼也の脳には良心と呼ばれる感情が存在しないというのだ。ヤクザに良心などないほうが好都合だと強がる頼也だが、ある日、体に異変を感じる。

 そんな中、頼也を怖がろうともせず待合室で話しかけてくる少女がいた。そのウィリアムズ症候群の7歳の梨帆も桐嶋の患者だった。

 人間の脳の謎を描く医学サスペンス巨編。

(光文社 900円+税)

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