「目撃」西村健著
夫と別居中の奈津実は、娘の満里奈を育てながら、電力会社のメーター検針員として働く。引退した伯母から引き継いだ仕事だが、あの日以来、奈津実は仕事中に監視されているかのような視線をたびたび感じて、気味が悪い。あの日とは、奈津実が担当する区域の家で強盗殺人事件があった日だ。
奈津実は、被害者と面識はあったが、事件について何かを目撃したわけではない。まとわりつく視線に恐怖を抱いた奈津実は、捜査本部を訪ね、警視庁捜査1課の刑事・穂積に事情を打ち明ける。穂積は自宅周辺のパトロールを約束してくれるが、ある夜、奈津実が帰宅すると部屋が荒らされ、「おまえは逃げられない」との書き置きが残されていた。
目撃者と一匹狼の刑事、そして犯人の三つ巴の戦いを描く長編サスペンス。
(講談社 1078円)