「京成はなぜ『国内最速』になれたのか」草町義和著
都心と成田国際空港を結ぶ成田スカイアクセス線を走る特急「スカイライナー」の最高速度は時速160キロ。これは、新幹線を除き鉄道では日本最速だ。この路線を運営する京成電鉄は、コロナ禍によって苦境に立たされている。同社の運輸収入の3分の1が成田空港アクセス輸送に由来しているからだ。感染拡大までは利用客は順調に増加していたが、2020年度上半期には定期外旅客の平均単価が大手私鉄16社中でも最大の32%も減少した。
しかし、同社の試練は、これが初めてではない。戦前は並行する国鉄線との競合や都心乗り入れ計画の難航、そして戦後は成田空港の建設反対運動に巻き込まれ、不動産投資失敗による経営の悪化などもあった。
そんな同社の110年の歴史をたどる企業物語。
(交通新聞社 990円)