経済評論家杉村富生氏「4分の1を貯蓄に回す」
「私の財産告白」本多静六著
(実業之日本社)
1866(慶応2)年に埼玉県の小作に生まれた本多静六先生は、その後、東京山林学校に通い猛勉強。首席で卒業する。ドイツ留学などを経て、25歳で帝国大学農科大学(現在の東大農学部)の助教授に就く。
造園や産業振興で活躍し、明治神宮や日比谷公園の設計にも携わっている。
ただ、服装には無頓着だったようで、東大の助教授だというのにヨレヨレの服を着ていた。その服は“東海道シャツ”と呼ばれていたという。その心は、東海道五十三次のように「つぎ(はぎ)」だらけ。
あるとき教授から「服装を何とかしろ」と言われ、「それでは株式投資をやっていいか」と答えた。40歳のころには今の価値で300億円を超す資産を築いたという。
先生は「4分の1貯金」を説く。定期収入の4分の1を必ず貯蓄し、臨時収入は100%貯蓄に回す。そして貯蓄が一定額になったら、株式などに投資するといった考え方だ。
先生は晩年、膨大な財産を全て寄付した。投資で重要なのは「欲のなさ」か。