「マンモスの抜け殻」相場英雄著
住人の高齢化が進み、都心の限界集落と呼ばれたマンモス団地で、83歳の老人の死体が見つかった。それは捜査1課の刑事・仲村勝也がかつて住んでいた団地で、被害者の藤原光輝は仲村の知り合いだった。背中を押されてベランダから落ちたとみられた。藤原は飲食業のほか、介護事業も営んでいた。
やがて、防犯カメラの映像から、容疑者が浮かぶ。週刊誌の特集記事で話題になった美人投資家・松島環で、仲村の幼なじみだった。次いで別の容疑者が浮上する。藤原の経営する介護施設でヘルパーとして働く石井尚人で、やはり仲村の幼なじみだ。
同じ団地で育った3人の人間関係を中心に展開する社会派ミステリー。
(文藝春秋 1980円)