「巨悪」伊兼源太郎著
東京地検特捜部の検事・中澤は、大手運送会社の社長・鷲田の脱税事件を担当するが、証拠が見つからず立件できない。検察事務官の城島が、先代から仕える番頭・陣内の手帳で見つけた和菓子購入の記録も事件とは無関係だった。中澤と城島は高校時代の友人だったが、中澤の妹の死以来、特捜部で再会するまで顔を会わせたことがなかった。
その後、中澤は国土交通大臣の選挙違反事件の捜査に加わる。捜査が進む中、大臣に不審な政治団体から多額の献金があることが判明。さらに秘書・赤城の指示で彼の義兄が大量のミネラルウオーターを定期的にある倉庫に搬入していることも分かる。その倉庫の所有者は鷲田の会社だった。
東日本大震災の復興予算2兆円をめぐる闇を描いた社会派ミステリー。
(講談社 1000円+税)