「非接触の恋愛事情」相沢沙呼ほか著
新型コロナウイルス感染症によって日常が一変した若者たちの恋愛を描いたアンソロジー。
高校に入学した朝陽は、同級生や部活の先輩たちの素顔を知らない。いつもマスクで覆われているからだ。しかし、朝陽にとってはそれが心地よく、パンデミックがいつまでも続くように密かに願っている。小学校の頃から容姿を理由にばい菌扱いされ、同級生たちは本気でアサヒ菌に感染することを嫌がっていた。中学までイジメは続き、不登校になった朝陽は、再びアサヒ菌の流行が起きることを恐れながら恐る恐る高校に通い始めたのだ。
ある日、クラスメートの澄川くんから地元の夏祭りに誘われた朝陽だが、できればイベントは中止になって欲しいと思う自分がいる。(相沢沙呼著「拝啓コロナさま」)
(集英社 682円)