「ミス・サンシャイン」吉田修一著
大学院生の岡田一心はゼミの担当教授の紹介で、カンヌ国際映画祭で女優賞を取った昭和の大女優、和楽京子の家の荷物の整理をすることになった。京子の本名は「石田鈴」なので、「鈴さん」でいいという。
鈴さんは日系2世のカメラマン、ジェームズに見いだされてデビューしたのだが、本当はジェームズが声をかけたのは鈴さんの親友の林佳乃子だった。が、佳乃子は28歳で死んだという。「本当は佳乃子さんが女優になるはずだった」と。
一心はカフェで知り合った桃ちゃんが好きだったのだが、桃ちゃんが元彼と暮らしていたマンションを見つめるのを見てしまう。傷ついた一心を受け止めてくれたのは鈴さんだった。
80代の女性によせる切ない恋の物語。
(文藝春秋 1760円)