「海を越えたジャパン・ティー」ロバート・ヘリヤー著 村山美雪訳
アメリカでは日常的に紅茶が飲まれていると考えがちだが、意外にも緑茶もよく飲まれている。日本では、江戸時代に煎茶として飲むようになり、19世紀中頃には富裕層は玉露を好んだが、多くの日本人は一年中生産できる番茶を飲むことが多かった。
アメリカでは植民地時代に中国茶を輸入していたイギリスに倣って、独自の茶様式が生まれた。1800年代に入ると、アメリカでは紅茶の輸入量より緑茶の輸入量のほうが増えてゆく。バージニア州などの上流家庭のティーパーティーでも緑茶が飲まれることが多かった。やがてアメリカは中国茶への偏見からジャパン・ティーに目を向けるようになる。
交易を通して見た意外な緑茶の歴史。
(原書房 2750円)