「雪と心臓」生馬直樹著
小さな町に暮らす小学5年の勇帆は、憂鬱な日々を送っていた。勉強も運動も、すべてにおいて下位をさまよっているからだ。対して、二卵性の双子の姉・帆名は、弟の能力の半分以上を奪って生まれ出てきたのではと疑うほど、何をやらせても優秀だった。
しかし、性格は最悪。男子以上に好戦的で、常識はずれ。大人にも容赦なく反抗するが、その優秀さゆえに許されている。勇帆が唯一、姉に勝てるのは、ゲームの「ストリートファイター」だけだった。「ストⅡ」の達人となった勇帆は、幼馴染みの昌晴と駄菓子屋に置かれたアーケードゲームに通う。
そんなある夜、昌晴から「ばあちゃんを殺した」と助けを求める電話がかかってきた。
正反対の双子の姉と弟の二十余年を描く長編小説。 (集英社 616円)