「事務次官という謎」岸宣仁著
「事務次官という謎」岸宣仁著
各官庁の最高位である「事務次官」は、エリート中のエリートだけがたどりつける役職。聖域ともいわれる役職で、ほかの官僚とは一線を画し、特別な存在として処遇されている。
まず第一に、国会に呼ばれ説明責任を求められることもない(法的根拠はなく、慣例で)。さらに、各府省に大臣・副大臣・政務官が配属されているなかで、位置づけが必ずしも明確ではなく、政官の役割分担は曖昧なまま。そして以前は行われていた定例の記者会見も廃止されたままだ。
一方で次官本人や官僚による不正行為や事件は後を絶たず、この31年間で18人もの次官が辞任・逮捕に追い込まれ、短命化も進んでいる。
そんな謎に満ちた霞が関の聖域の真の姿に迫りながら、制度の見直しを提言する官僚研究書。
(中央公論新社 1012円)