「官僚たちの冬」田中秀明著
1980年代まで、日本の官僚は経済発展の原動力といわれ、内外で高く評価されていた。しかし、90年代に脱官僚、政治主導への改革が始まり、2014年には幹部公務員を一元管理する内閣人事局を設置して、安倍政権は政治主導を確立させた。
引き換えに、森友学園・加計学園問題に始まり、統計不正や違法天下り、果ては事務次官によるセクハラ疑惑まで行政レベルで問題事案が頻発。かつて作家の城山三郎が政財界のしがらみにとらわれず国家のために働く官僚たちの姿を描いた「官僚たちの夏」とは程遠い、「冬」の時代となっている。
本書は元財務官僚の著者が、平成30年間の政治・行政改革を振り返りながら、霞が関の劣化・凋落(ちょうらく)の深層に迫り、その改革の道を展望する政治テキスト。
(小学館 800円+税)