著者のコラム一覧
金井真紀文筆家・イラストレーター

テレビ番組の構成作家、酒場のママ見習いなどを経て2015年から文筆家・イラストレーター。著書に「世界はフムフムで満ちている」「パリのすてきなおじさん」「日本に住んでる世界のひと」など。

「世界のねこことわざ」noritamami著

公開日: 更新日:

「世界のねこことわざ」noritamami著

 安易に猫の俳句は作らないようにしている。句会でもなるべく猫の句に点を入れないようにしている。猫はずるい。存在自体に俳味があって、どう作ってもなんとなくいい俳句になる。だから戒めている。

 なのに先日の句会で「卯月曇猫にふみふみされてをり」という句が出て、つい選んでしまった。ふみふみは反則だ。ふみふみされたら、スルーできない。

 世の中に山ほどある猫本にも安易に手を出さないようにしているのだが。あぁ、これはダメだ。猫のうえにわたしの大好物である「世界の言語」と「ことわざ」が乗っている。まるでウニ・イクラ・カニ丼だ。スルーできるわけがない!

 すぐれた猫にはすぐれたネズミ(好敵手の意味。フランス)、塀の上に立つ猫(物事はどっちに転ぶかわからない、の意味。インド)など世界各地の猫が登場することわざが59紹介されている。すべてに猫の写真が添えられているのもうれしいが、それに増してテンションが上がるのが「豆知識」欄。

 イタリアでは猫のくしゃみが聞けると縁起がいいとか、猫好きのことをタイ語ではタートメーオ(直訳すると「猫の奴隷」)といい、韓国ではニャンチプサと呼ぶ(ニャンは鳴き声、チプサは執事)なんて情報が載っていてにんまり。世界のあらゆる場所で、人間どもは猫さんの一挙手一投足を見て喜んでいる。

 似た意味のことわざを並べて愛でるのも、ことわざファンのお楽しみ。「鶏口牛後」はロシアでは「ライオンの尾より猫の頭になるほうがいい」で、モンゴルでは「虎の尻尾より蚊の頭になれ」だそう。か、蚊の頭!? ずいぶん小さいね……。

(ハーパーコリンズ・ジャパン 1540円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ダウンタウン浜田雅功の休養でよぎる2023年の「意識障害」報道…「前日のことを全く記憶していない」

  2. 2

    フジテレビ30代アナ永島優美、椿原慶子が辞めて佐々木恭子、西山喜久恵50代アナが居座る深刻

  3. 3

    ダウンタウン浜田雅功が休養でテレビ業界大激震…キー局編成関係者「いずれ番組の打ち切り話が出てくる」

  4. 4

    男性キャディーが人気女子プロ3人と壮絶不倫!文春砲炸裂で関係者は「さらなる写真流出」に戦々恐々

  5. 5

    志村けんさん急逝から5年で豪邸やロールス・ロイスを次々処分も…フジテレビ問題でも際立つ偉大さ

  1. 6

    井上真央ようやくかなった松本潤への“結婚お断り”宣言 これまで否定できなかった苦しい胸中

  2. 7

    志村けんさん急逝から4年で死後トラブルなし…松本人志と比較される女性関係とカネ払い

  3. 8

    【動画あり】イケイケ国民民主党に“パワハラ問題”噴出!女性衆院議員からの罵倒叱責で体調不良に…4人も離党の異常事態

  4. 9

    “現代の遊女”吉原のソープ嬢はNHK大河ドラマ『べらぼう』をどう見ている? 地元は特需に沸く

  5. 10

    日テレ「さよなら帝国劇場」でわかったテレビ軽視…劇場の階段から放送、伴奏は電子ピアノのみ