(84)猪牙舟は吉原通いの遊客の足
![切り絵・小宮山逢邦](https://c799eb2b0cad47596bf7b1e050e83426.cdnext.stream.ne.jp/img/article/000/361/375/0165829414f7f8bb51569de13614a4bb20241002104615896_262_262.jpg)
重三郎は線香の煙の行方を万感の想いで追う。煙はまっすぐに立ち昇ったあと頭の上でたなびき、ゆっくりと消えていった。
墓前で手を合わせていた、とせが振り返った。
「小紫さんといろいろお話しちゃった」
蔦重は微笑む。春がくれば小紫の命日。とせはそれを忘れない。今…
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