「わたしリセット」田嶋陽子著
「わたしリセット」田嶋陽子著
女性差別を訴え続けてきた女性学の研究者によるエッセー。
1941年生まれの著者は、幼い頃から男社会の代弁者のような母に厳しく育てられてきた。それはある意味、愛という名のもとに行われた「いじめ」だったと述懐。そんな母に対して自己主張ができるようになり、ようやく解放されたのが46歳のときだった。
大学教授だった50代でテレビに出演して一世風靡。しかし、研究者仲間からは快く思われず、学問の師からは破門を言い渡される。
以来、国会議員をはじめ、書アートや、シャンソン歌手にも挑戦。若き日の外国の貴族との恋愛など、恋愛遍歴も明かしながら、理想の死に場所としてシニアハウスを選択した現在の暮らしまで語る。
自分らしく生きることを追い続けてきた著者の人生論。 (文藝春秋 1100円)