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「地方消滅2」人口戦略会議編著

 少子高齢化にデジタル化の人手余り。いまや現代は右を見ても左を見ても「消滅」の危機だ。



「地方消滅2」人口戦略会議編著

 2014年、少子高齢化による「消滅可能性都市」は日本全国で896に上るという衝撃の予測が発表された。それが本書に先駆けた正編。本書はそれから10年後の続編だ。いまや東京の出生率は1を割って0.99にまで落ちた。

 このままでは2100年には人口6300万人、その4割を高齢者が占めるという予測まであるのだ。

 本書は2023年、民間有志によって立ち上げられた財界人主体の会議による懇談の成果。特に気になるのが人口減少をどのように補うのかの大戦略。

 本書は不足を埋めるための「補充移民政策」は取らないという。人口の定常化を外国人で埋めるには膨大な数が必要な上に、将来像も見通せなくなる。それゆえ「永定住外国人政策」が必要。

 しかし欧州などと違って日本の永住外国人は就労が目的。その受け入れ数は既に33.2万人で実は世界第5位に当たる。日本は既にアジアの国際労働メカニズムの中心国に入っているのだ。にもかかわらず、国内外を視野に入れた経済・労働・社会全般の総合戦略が不在なのである。

 本書は最新データを駆使し、全国1729自治体を9つに分類する。「消滅可能性自治体」は今回は744。少し改善したように見える理由を含め今後の指針としたい。 (中央公論新社 1012円)


「韓国消滅」鈴置高史著

「韓国消滅」鈴置高史著

 相変わらずの韓流ブームが続く日本だが、韓国は日本以上に深刻な少子化に悩んでいる。2023年の出生率は0.72でOECD加盟国の中で圧倒的に低い。生産年齢人口も2019年にピークに達し、あとはどんどん減っていくだけ。

 本書は日本経済新聞で韓国特派員を務めたジャーナリストが語る韓国の危機。

 少子化は、ここまで来てもまだ「底」が見えない。統計庁の出生見通しは毎年のように下方修正を続けている。2010年ごろ、「衰退する日本、躍進する韓国」が韓国論壇で花盛りとなったことに浮かれていたが、いまや日本と同じか、もっと悪いという予感に恐怖している。

 さらに、近年の政治的混乱が拍車をかける。1980年代末、韓国が民主化の道に入ったとき、経済成長が韓国に民主主義をもたらしたという楽観的な見方が支配的になった。著者も当時、韓国発でそうしたニュースを送ったという。しかし、地元では学生を弾圧して殺す警察への怒りが民衆を民主化に仕向けたのであり、経済とは無関係とする冷静な見方があったという。以来、折に触れてこれを思い出す機会がしだいに増える。近年では、ついに「報復が報復を呼ぶ復讐の政治に陥った」と見る。その異様さは左右両派とも同じというのだ。

 中国からの移民を急増させることでしだいに中国に取り込まれ始めた韓国。先行きが懸念される。 (新潮社 968円)


「ホワイトカラー消滅」冨山和彦著

「ホワイトカラー消滅」冨山和彦著

 60年前の日本は高度成長の入り口、30年前はバブル崩壊の長期停滞の入り口。ではいまは? いうまでもなく急激なデジタル化で、平均的なホワイトカラーの仕事はいずれ機械に取って代わられるといわれる。まさに、この書名のままの現実が迫っているのだ。

 しかし、著者は「恐れることはない」ときっぱり。日本は大量の人手不足時代がやってくるので、デジタル化にともなう学び直し(リスキング)を適切におこなって、ホワイトカラーが技能をアップデートすれば、デジタル化は「むしろ僥倖」なのだという。ただし、それは理想的な産業転換がおこなわれた場合のこと。現状のままでは逆にジリ貧は予想以上に早く到来する。

 著者は日本社会の底流にある向学心や勤勉性、共助性などに期待をかける。それはミレニアル世代やZ世代になっても変わらないはず、という。この楽観的な期待が空念仏にならないよう、みなが心して努力すべきということだ。著者はテレビでおなじみの経営コンサルタントだ。 (NHK出版 1133円)


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