「ヤンキー経済」の著者が語る「なぜ彼らはEXILE好きか」
「今の若者は、最新ヒットチャートの曲よりも一昔前にはやった曲を好む傾向があるんです。たとえば、01年に解散した『JUDY AND MARY』は、彼らのカラオケでの定番ソングのひとつ。地元では緩やかながらも先輩後輩のタテ社会が息づいているため、先輩が歌っているのを聞いて覚える。安室のように10代、20代でジェットコースターのような恋愛、結婚、スキャンダルを経験してシングルマザーとして頑張っている姿も共感を呼ぶのだと思います」
■マイルドヤンキーがカギ握る日本の未来
その一方で、かつてはヤンキーソングの定番とされた、矢沢永吉や尾崎豊に興味を示すマイルドヤンキーはごく少数とか。
「永ちゃんに象徴される“成り上がり”の精神は、真逆の考え方なのです。暴力性とも無縁なので、尾崎豊の歌を聞いても『なんで校舎の窓ガラス割っちゃうの!?』といった具合でしょう(笑い)。本物のワルはかえって敬遠される傾向にあるんです。そもそも、マイルドヤンキーの中には、反抗期を経験しなかったという子が多い。親や先生もまるで友達同士のように仲が良く、思春期の頃に反抗する相手がいなかった。ですから、尾崎の歌詞で表現されている大人や社会への閉塞感や反抗というものが実感できないのです」