高校野球をテーマに漫画を描きながら痛々しくて甲子園を楽しめない
甲子園に出るような学校はメンタルトレーニングも重要視されていて、あるチームは真夜中に山へ登り、懐中電灯ひとつを持って頂上から駆け下りる練習をしている。大ケガする危険を顧みず、わずかな明かりを頼りに木々をかき分けてひたすら走るという。
高校野球の名門PL学園高校出身で、レギュラーとして甲子園出場経験もある新人作家が野球部時代の出来事を描いている。「Dモーニング」に掲載中のなきぼくろ氏による「バトルスタディーズ」だ。寮では睡眠時間3時間、アラームをかけずに朝4時44分にパチッと目を覚まし、同部屋の先輩を起こす。1年生は、先輩に対して「はい」か「いいえ」としか言ってはいけない。そんな「掟」が紹介され、16~18歳の少年たちが「仁義なき競争社会」の中で格闘する姿が垣間見える。
グラウンド外では、全国の野球エリートを巡って、高校同士による過当なスカウト合戦もある。寄付を募るなどしてプロ顔負けの最新鋭の練習設備を持つ学校もある。大人の思惑が絡んだ汚い部分が透けて見える。“自由競争”が容認されすぎている風潮には疑問を感じていて、「選手獲得は隣接する都道府県のみ」などの一定の歯止めをかけてもいいと思っているほどだ。