元フジP佐藤義和さん バーで無言続いたタモリとの1カ月

公開日: 更新日:

「ひとりで寂しく飲んでるんですけど」

 そう言われると、渋々出てきてくれて、朝まで飲みながら番組のことや愚痴まで聞いてくれました。

 逆に僕を呼び出したのは、タモリさん。あれは「笑っていいとも!」のプロデューサーを横澤彪さん(故人)から僕が引き継いだころ。番組もややマンネリ化していた時期で、番組改革としてレギュラー出演者をほとんど入れ替え、テレフォンショッキング以外のコーナーも一新したんです。番組が続くかどうか、ある意味、賭けでした。

 すると、ある夜、タモリさんから局に電話が。

「何してるの? ちょっと飲まない?」

 呼び出された店は青山のバー。でも、タモリさんは飲みながらも「いいとも」のことには触れない。それどころか一切、僕に話しかけない。店のママとだけ話す。翌日もその翌日も「ちょっと飲まない?」と同じ店に呼び出すけどまったく話さない。それから1カ月、毎晩ですよ。不思議でした。

 おかげさまで新コーナーは評判よく視聴率もよかった。で、プロデューサー就任から1カ月後、バーから出たタモリさんが車に乗り込む時、「サトちゃん、番組の改革、成功したね」と言ってくれた。1カ月、毎晩一緒にいて、やっとその一言だけくれたんです。あとで考えると、タモリさんは信用できる人間か1カ月間ずっと観察してたみたい。今となっては酒席のいい思い出ですけど(笑い)。

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