歴代ワースト3発進 大河「花燃ゆ」敗因はNHKの“番宣”か
型破りな兄・吉田松陰(伊勢谷友介)を優しく見守る主人公の文。のちに夫となる小田村伊之助(大沢たかお)と川辺でばったりと遭遇する。この志高き2人の男は、藩の政策を声高に批判し、禁書も読んでいた――というのが初回のあらすじだったが、識者はどう見たか。
作家の麻生千晶氏が言う。
「そもそも期待薄だったこともありますが、初回の出来はまあまあ。軟派な番宣とは異なり、実際は硬派に作られていました。幕末期の若い長州藩士が国の行く末を憂う姿や、萩一番といわれた松陰の秀才ぶりを彷彿とさせる言動などが丁寧に描かれ、制作側の意図や思惑がきちんと表れていました。ですが、8歳の女児が私塾に自由に出入りするなんて当時では考えられないこと。ただ、そういう根本を問題視しては今作は成り立たない。そもそもの部分は差し引いた上で申し上げたいのは、今後、歴史背景を描きながら、表舞台に現れない主人公を軸にどう物語を展開させていくか。つまり、脚本が問われるわけです。思えば、山内一豊夫婦を描いた『功名が辻』(06年)もホームドラマ。『花燃ゆ』も視聴者から受け入れられる素地はあります。無論、物語の要である主人公をうまく描けなければ、大コケした『八重の桜』(13年)の二の舞いにもなりかねません」
物語は始まったばかり。巻き返せるか。