水島宏明・法大教授が危惧「TVの萎縮はバラエティーにも」
テレビが政権をヨイショしなくても、政権への批判や風刺を控えて、政治的なテーマについて口をつぐむだけでも、政権にとっては好都合です。これがテレビへのさらなる政治介入を招くという、悪循環が始まっています。もはや、引き返すことができなくなるほどの危険ラインに近づいてきている。
こうなると、個々のテレビ局が政権からの圧力をはねつけるような番組を作って頑張ればいいといった精神論では、もうどうにもなりません。日本民間放送連盟(民放連)のような業界団体が自民党に申し入れを行うなど、業界がまとまって自民党に対抗する動きをとらなければ、テレビはいま以上につまらなくなっていくでしょう。
▽みずしま・ひろあき 法政大学社会学部教授。元日本テレビ解説委員。著書に「内側から見たテレビ やらせ・捏造・情報操作の構造」(朝日新書)、「テレビはなぜおかしくなったのか」(共著、高文研)などがある。