映画「64」で高評価 緒形直人を近ごろ見かけなかったワケ
それにしても、久しぶりの大作である。全国ロードショーでいえば、15年春公開の「王妃の館」以来1年ぶり。ドラマも認知症をテーマとしたNHKの特番ドキュメンタリー「認知症の私からあなたへ」の放送から7カ月が経つ。90年代には「予備校ブギ」(90年)をはじめ、大河ドラマ「信長 KING OF ZIPANGU」(92年)など複数の連ドラで主演を張った人気俳優が、最近見かけなくなったのはなぜか。
所属事務所に近況を聞いてみると――。
「緒形本人がもともと器用なタイプではないこともあり、“一作入魂”に近いスタンスでじっくりと丁寧に向き合いながらやらせてもらっています。キャラクターを前面に押し出した作品ではなく、今回のロクヨンのように人物が丁寧に描かれた人間ドラマに巡り合えることに運命を感じているようです。あるベテラン俳優の方から“このまま踊らない芝居をすればいい”と助言いただいて以来、本人は演技の道を模索し続けている。一生芝居を続けていく覚悟で一作、一作、臨んでいます」(担当者)
演技への並々ならぬこだわりは、実父の緒形拳譲り、いや、それ以上かもしれない。