安室&桑田登場も…NHK紅白“40%割れ”専門家はどう見た?
裏番組に加えCS、ネットテレビも躍進
にもかかわらず、視聴率アップにはつながらなかった。NHKスタッフもその分析をしているのだろうが、城下氏はこう続ける。
「世代によって、聴く音楽が異なり、歌番組という本来の意味での紅白はもはや国民的ではないということでしょう。巷で誰もが耳にし、口ずさむ流行歌がなくなって久しいのは、そもそも歌手の皆さんが新曲を披露する歌番組がテレビから消えているのですから、どうしようもない。
私も自宅で紅白を見ていたのですが、TWICEのメンバーが顔の横でつくる指の『TTポーズ』に合わせて、娘がサビの部分を口ずさむのを見て初めて、ああ若い世代にそれがはやっていたんだということを実感として気づいたというレベル。紅白までTWICEというグループの存在すら知らなかったという方が、中高年世代の芸能マスコミにもいる時代なのですから。お馴染みのベテラン歌手が出てきても、歌うのは何十年も前に出したヒット曲だったりすれば、またかと思われてしまいます。
大晦日の日本の風物詩として、家にいれば何となくチャンネルは合わせはするものの、裏番組の『ガキ使』大晦日SPなどと見比べて、その時々で面白い方を見る。紅白だからといって、かぶりつきで最初から最後まで見通すという視聴者の方は今、どのくらい残っているのでしょうか」
たしかに紅白の不振は裏番組の数字にも如実に表れている。「ガキ使大晦日SP」(日本テレビ系)は17・3%と民放では断然の1位。2位は「第50回年忘れにっぽんの歌」(テレビ東京系、午後4時から10時まで)が8・4%と大健闘した。加えて、スカパー!などでは午後8時半から「2017 MBC歌謡大祭典」を生中継。さらにネットテレビ「AbemaTV」は特別企画「朝青龍を押し出したら1000万円」という大型企画をブツけて注目を集めた。
安室、桑田という最大級の目玉歌手を投じても40%を割った紅白の不振は、年の瀬は家族揃って茶の間でテレビを囲むという視聴習慣がすでに“ノスタルジー”のかなたであり、スマホが当たり前の若者世代のテレビ離れはさらに加速するという現実を残酷なほどに浮き彫りにしたというわけだ。
平成時代の紅白は今年の大晦日がラスト。NHKホールから断末魔の叫びが聞こえる。