幼稚園で画期的ライブ お客さんの園児がノリノリで踊った
片岡さんは4年前の初夏、国立に今もある清志郎の実家を訪ねている。閑静な住宅街にある2階建ての古家。今や住人は親戚に代わっているが、よく手入れされた庭には藤棚があった。
「清志郎さんの私小説『十年ゴム消し』のカバーに描かれた絵が、子どもの頃の心象風景なのでしょう。文中にもその様子があります。のどかでいて切ない。誰しもが持つ普遍的な幼子の感情が書かれています。実家は、実際には国分寺市ですが、駅は国立が近い。いとこの方に聞いた子どもの頃の話では、『ここは国立だ』と言うと、清志ちゃんは『違う! 駅は国立でも住所は国分寺!』と譲らなかったんですって。こだわり屋の清志郎さんを垣間見る話です」
■国立は聖地
国立は清志郎やRCファンにとっての聖地。歌詞には「多摩蘭坂」「一つ橋(一橋大学)」「大学通り」「南口(国立)」など、実際の地名や場所が多々登場する。
「家からは富士山が遠くに見え、近くに高圧電線の鉄塔がありました。それを見ているとファンの男性に声をかけられました。清志郎さんの私設ガイドのようなことをしているのか、『この電線は“五線譜”に見えるでしょう?』と粋なことを話していました。『そっかなぁ?』と私は思いましたけど(笑い)」