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大高宏雄映画ジャーナリスト

1954年浜松市生まれ。明治大学文学部仏文科卒業後、(株)文化通信社に入社。同社特別編集委員、映画ジャーナリストとして、現在に至る。1992年からは独立系を中心とした邦画を賞揚する日プロ大賞(日本映画プロフェッショナル大賞)を発足し、主宰する。著書は「昭和の女優 官能・エロ映画の時代」(鹿砦社)など。

偉大な脚本家「橋本忍」の名をもっと広く知ってもらいたい

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 やはり脚本家の評価は一般的には低いのだろうか――。7月19日に亡くなった日本映画界を代表する脚本家・橋本忍氏(享年100)の訃報で、そう思った。新聞の大きな扱いと比べ、テレビではそれほどでもなかったのだ。「羅生門」や「七人の侍」などの黒沢明監督作品はじめ、同史上に残る名作、傑作を世に放った橋本氏にしてこんなものかとがっくりした。新聞では、映画担当のベテラン記者が評伝をすぐに掲載するなど、さすがと思った。橋本氏の功績を踏まえ、取材で知りえた脚本作りのことなど含め、微に入り細をうがっていた。対するテレビでの扱いはこぢんまりし、逝去翌日のニュース番組では報道さえしない局もあった。監督や俳優では、こんな違いはあまりない。

 新聞には代々、映画の専任記者がいる。記者は、長年にわたりさまざまな視点から映画記事を執筆している。中心となる記者は、担当を代わることなく映画一筋の人が多い。映画製作における脚本の重要さを知り尽くしており、だからこそ橋本氏の記事に力が入った。テレビは、そういうわけにはいかない。報道の際には一般的な知名度が重要さを左右し、そこが弱いと報道の優先度も下がってしまう。ましてや橋本氏は、この30年ほどは引退も同然だった。作品系列が偉大であっても、作品の顔となる監督や俳優ではない。扱いの小ささは、そんなところからも来ている気がした。

 橋本忍氏は共作も多いが、単独脚本では「張込み」(58年)、「切腹」(62年)、「白と黒」(63年)、「上意討ち 拝領妻始末」(67年)、「首」(68年)などが忘れがたい。もっと広く、脚本の重要さと橋本氏の名を知ってもらいたい。

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