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二田一比古ジャーナリスト

福岡県出身。大学卒業後、「微笑」(祥伝社)の記者に。その後、「Emma」「週刊文春」(ともに文芸春秋)をはじめ、多くの週刊誌、スポーツ新聞で芸能分野を中心に幅広く取材、執筆を続ける。フリー転身後はコメンテーターとしても活躍。

樹木希林さんの一喝で変わった 女性誌の母子2ショット報道

公開日: 更新日:

 どんな取材にも自分の言葉できちんと話す樹木さんだったが、珍しく激怒したことがあった。娘の也哉子さんが幼少期だった頃、母子ツーショットで散歩する姿を遠目から隠し撮りした写真を女性誌が掲載した。今では絶対にありえないが、当時は母親になった女優と子供の写真は「どちらに似ているの」という読者願望を満たす女性誌の目玉だった。ちなみに、子供と近所の公園に散歩に出る日を「公園デビュー」と呼び、絶好のシャッターチャンスだった。メディアにとっては普通の母子写真のはずが、樹木さんは激しい口調でこう言い放った。

「娘が誘拐されたらどうするんですか、責任を取ってもらいますよ」

 会見場は静まり返った。それはメディアに向けて発した警告だった。それまでメディアも誘拐まで考えたことはなく、撮れたら当たり前のように掲載していた。子供の顔を許可なく載せることは、世間に有名人の子として認知させることになる。以後、母子の写真は後ろ姿になったり、子供の顔にボカシを入れるなど配慮するようになった。演劇界以外でも樹木さんが与えた影響力は計り知れないほど大きい。

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