岡田准一“殺陣”に開眼 映画「散り椿」で見せた接近戦の妙
今週末の3連休も台風の影響が予測されるが、わざわざ劇場に足を運んで見るに値する一本がこれ。岡田准一(37)主演の時代劇ムービー「散り椿」(木村大作監督・撮影、東宝系)である。
先月28日に公開され、ランキングは人気コミックを原作とするアニメ「劇場版 夏目友人帳 うつせみに結ぶ」、ディズニーの「プーと大人になった僕」に次ぐ初登場第3位につけた。もっとも、興行収入は「現代劇より製作費がかかることもあり、最終で15億円を目指したいところだが、現状では10億円いくかどうか」(映画興行関係者)と苦戦気味。大コケなどと報じるネットニュースもあるが、観賞した客のレビューには〈後からじわじわ〉〈素晴らしかった〉〈鳥肌がたった〉という声が散見され、満足度はすこぶる高い。
木村監督が「美しい時代劇」にこだわったという本作。昨年12月に亡くなった直木賞作家・葉室麟氏の同名小説を実写映像化した。映画ジャーナリストの大高宏雄氏も同作品を高く評価するひとり。なかでも殺陣の描写は「ひとえに接近戦の妙」だと話す。たとえば、黒沢明監督作「椿三十郎」(62年)のラストシーン。三船敏郎と仲代達矢による有名な決闘は互いの体が触れ合うような接近戦で描かれているが、「散り椿」でも岡田と西島秀俊(47)の殺陣のシーンはそれを彷彿とさせる緊迫感を見事に表現しているという。