石野真子「春ラ!ラ!ラ!」は元旦に発売された季節ソング
「春ラ!ラ!ラ!」(1980年)
いまは随分減りましたが、昔は季節ソングがたくさんありました(我々は季節商品と呼んでいましたが)。夏は盆踊り。スタンダードになると毎夏かけてもらえますからね。私は金沢明子の「イエロー・サブマリン音頭」を手がけました。あとクリスマスソング。これは伊藤さやかで「素敵にジングルベル」って曲を作りました。曲は長渕剛に書き下ろしてもらって。あと、忘年会シーズンはデュエット曲がありましたよね。
石野真子の「春ラ!ラ!ラ!」はタイトル通り、春に狙った季節ソング。しかも発売は1月1日。いわゆる初荷です。当時、元日はレコード店のかき入れ時。子供たちがお年玉を持って買いに来ました。だから本当にイチ押しの歌手しか元日には売らなかったんです。
石野真子の8枚目のシングルで、この曲から私が担当になりました。まず狙ったのは出だしのインパクト。「春という字は三人の日と書きます」という語りで始まる歌詞は、当時CMソングのヒットメーカーだった伊藤アキラさんにお願いしました。
そして、哀愁のあるメロディー。この時、石野真子はデビューから2~3年目。そろそろ大人っぽい曲を歌わせてもいいころです。歌詞も“さわやかな三角関係(?)”がモチーフ。そこで作曲を森田公一さんにお願いしました。「青春時代」もそうですが、森田さんの曲は哀愁があるんですよ。前半こそアイドルらしい明るい感じですが、後半からマイナーコードに変わって、切ない雰囲気になっていきます。