「発光」し始めた高山一実 自分なりの道を踏み出し輝く
しかし、いざアイドルになってみると、自分が好きだった理想のアイドル像と、自分がなれる現実のアイドル像との乖離に落ち込んだ。今は作品の裏側のメーキングから見せる時代。取り繕って理想的なキャラクターを演じていても、すぐに化けの皮が剥がれてしまう。だったら、自分にしかできないことを見つけるしかない。それが、アイドルをやりながら小説を書くことだったのだ。
「アイドルになった今でもアイドルになった気がしてないし、誰よりもアイドルについて考えている自信はあります」(バズフィードジャパン「BuzzFeed News」19年2月8日)
そう語る彼女が、5分間ではとても言い足りない自身のアイドル観を詰め込んだのが、「トラペジウム」なのだ。
「普段の自分だったらやらないような、リミッターを外すぐらいの行動をした時って、昨日までとはぜんぜん違う今日を楽しめる」(KADOKAWA「ダ・ヴィンチ」19年1月号)
ということを、アイドルの世界に足を踏み入れて感じた高山は、小説の世界にも思い切って飛び込んだ。小説のオファーが来たときに吹き込んだボイスメモが残っているという。
「何年後かに聞いてくれた自分に言います。これを書き終えた後にきっと何かが変わると信じて書きなさい!」(同前)
高山一実は憧れたアイドルとは違う自分なりの道を踏み出した時に、彼女たちと同じように自らが「発光」し始めたのだ。