保身からのパクリ横行 落ちるべくして落ちていくTVの傲慢
業界の衰退を示す実例で、こういう話がある。
フジテレビのクイズバラエティーで「超逆境クイズバトル!!99人の壁」というのがある。一般からの参加者100人のうち、選ばれた1人が自分の得意ジャンルで残る99人とクイズ対決するというもの。これは、入社間もない新人社員の企画で、上層部も面白いとすぐに採用しゴーサインを出した。しかしすぐに発覚した。海外の番組「100人の壁」の丸パクリであったのだ。
若手は知らないとうそぶいたそうだが、パクリを見破れなかった上層部の責任問題になりかねない。そこで、どうしたのか。
タイトルの100人を1人減らして「99人」にしたのである。
なんたる安直さ。笑い話だが、これが話題にも問題にもならず、スルーされているところに、フジテレビの凋落ぶりがうかがえる。
どこまで落ちるのか、関係者も自嘲的に見ている。最後に、TV局で仕事をしている関係者の中にも、テレビは見ないという向きが増えている。私もそのひとりだ。
(おわり)
▼テレビ業界歴四半世紀、民放各局を股にかけて活躍中の現役放送作家。