分断社会の行く末を警告…傑作「ジョーカー」を見逃すな

公開日: 更新日:

 映画は、いつかコメディアンになりたいと願うアーサーの小さな夢とわずかな希望が、ある事件によって完全に粉砕される悲劇を、容赦ない絶望的描写で見せる。24キロも減量し、病的な外見に変貌したホアキン・フェニックスは高く評価され、来年のアカデミー賞受賞は確実との声も上がっている。

■社会的弱者が悪のカリスマに

「これまでジョーカーを演じた3人は全員オスカーウイナー。中でもヒース・レジャーはまさにこの役で助演男優賞を取りました。ホアキンはこれまで3度ノミネートされた演技派ながらも、いまだ無冠。常軌を逸した減量や狂気の役作りに力が入るのも当然でしょう。実際、印象としてはヒースのジョーカーを凌駕する凄まじい怪演です。必死で生きてきた社会的弱者が上流社会に笑いものにされ、悪のカリスマとして祭り上げられるストーリーに強い説得力を与えています」(前田有一氏)

「ダークナイト ライジング」(12年)公開時には、ジョーカーに触発された20代の若者が映画館で銃乱射事件を起こした。今回は全米も警戒を強め、上映中止する館も出たという。R15+どころか、完全に大人向きの傑作。1年に1本ならこの「ジョーカー」で決まりだ。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  2. 2

    米挑戦表明の日本ハム上沢直之がやらかした「痛恨過ぎる悪手」…メジャースカウトが指摘

  3. 3

    陰で糸引く「黒幕」に佐々木朗希が壊される…育成段階でのメジャー挑戦が招く破滅的結末

  4. 4

    9000人をリストラする日産自動車を“買収”するのは三菱商事か、ホンダなのか?

  5. 5

    巨人「FA3人取り」の痛すぎる人的代償…小林誠司はプロテクト漏れ濃厚、秋広優人は当落線上か

  1. 6

    斎藤元彦氏がまさかの“出戻り”知事復帰…兵庫県職員は「さらなるモンスター化」に戦々恐々

  2. 7

    「結婚願望」語りは予防線?それとも…Snow Man目黒蓮ファンがざわつく「犬」と「1年後」

  3. 8

    石破首相「集合写真」欠席に続き会議でも非礼…スマホいじり、座ったまま他国首脳と挨拶…《相手もカチンとくるで》とSNS

  4. 9

    W杯本番で「背番号10」を着ける森保J戦士は誰?久保建英、堂安律、南野拓実らで競争激化必至

  5. 10

    家族も困惑…阪神ドラ1大山悠輔を襲った“金本血縁”騒動