新型ウイルスの恐怖を描いた「コンテイジョン」が再評価
場当たり的対応を繰り返す安倍政府のせいで、新型コロナウイルス禍は、いよいよ人災の様相を呈してきた。街から人が消え、レストランや居酒屋など外食産業は大打撃だが、その一方で、自宅で楽しめるネットフリックスやアマゾンプライム・ビデオといった動画配信サービスを視聴する人が増えているという。映画批評家の前田有一氏がこう語る。
「店員と接触する必要もなく、感染の心配もないためか、世界的に同じ傾向のようです。特に米国では1月からのコロナウイルス騒動以来、『コンテイジョン』(米)のような、新型ウイルスによるパニックを描いた映画の視聴数が急増しています」
この作品は「オーシャンズ11」のスティーブン・ソダーバーグ監督による、2011年公開のサスペンス。未知の致死性ウイルスが世界中に拡散し、米CDC(疾病対策センター)など関係機関の必死の対応と、社会が混乱に陥る様子が丁寧に描かれる。日本公開時の興収は3億6800万円と決して大ヒットしたわけではないが、いま再評価されているという。
「1999年にマレーシアで起きたニパウイルス感染症がモデルで、現実味あふれる作品ですが、淡々と感染拡大の様子ばかり描くので、公開当時は“退屈”との評価も多かった。しかしいま見ると、まさに現在の日本の状況そのもので不気味極まりない。学校が閉鎖され、共働きの親はどうするんだと騒動になったり、ネットで“生物兵器”陰謀論が広まる点もまったく同じ。早急なウイルス検査を求める声が全国で巻き起こったり、スーパーで食品などの買い占めが起きるなど、あまりにも符合しすぎです。映画はこの後、感染が収まらず恐ろしい展開になりますが、これが日本の数週後の未来かもと思うとゾッとします」(前田氏)
かつてパンデミック映画「アウトブレイク」(95年、米)が日本でも大ヒットしてから、はや25年。防護服すら着けさせてもらえずクルーズ船で感染した検疫官など、日本政府の対応は映画よりもはるかにヒドイ。