志村けんさんは繊細でシャイ 演出の要望も2年間言い出せず
コロナウイルスのバカ野郎。
連載第1回の冒頭に乱暴な言葉で失礼します。でもそんな気持ちです。
コロナウイルスによる演劇界の中止の嵐。そんなことをつづった原稿を書き終えたところに志村けんさんの突然の訃報。自分でも驚くぐらい取り乱しました。
■「志村魂」の演出を14年間担当
私は志村さんの座長公演「志村魂」の演出を、初演から14年にわたり担当してきて、今年も15周年の舞台があるはずでした。毎年この時期は濃密な時間をご一緒させていただきました。急きょ書き直した第1回は、志村さん追悼の文になることをお許しください。
「志村魂」は1幕でまずバカ殿を30分そして「ひとみばあさん」などの名作コントを6、7本。2幕は一転して津軽三味線の演奏を真面目に聴かせ、松竹新喜劇の名作喜劇できっちりと笑って泣かせるという構成でした。ほとんどすべてに志村さんは出ずっぱりで毎回上演時間は3時間半超え。これで東京・大阪・名古屋の劇場と地方が2、3カ所加わる1カ月半に及ぶ大ツアーでした。