笑福亭仁鶴師匠はかなりの読書家だった 喉の手術は23回も
親しくさせていただくようになってから、ある特番で「吉本クイズ」をやることになり、会議で「仁鶴師匠は何回喉の手術をしたか?」というのが問題の候補にあがりました。若い時からの酷使で喉を痛め、何度も手術をされていることは業界内では有名な話でしたが、「さすがに失礼やし、誰が聞くねん?」という話になり、私にお鉢が回ってきたのです。
「師匠実は……」といきさつをお伝えすると「ようそんなこと聞くな? アホちゃうか……」と笑いながら「かまへんけど、そんなん問題になるんか?」「10回以上は(手術を)されていると伺ってますので、舞台にかける執念が伝わると思います」。ホントにそう思っていたので、そのまま伝えました。
「う~ん」としばらく考え、「22、23回はしてるかな」。あまりの多さに思わず「22、23回ですか!?」と聞き返すと「それぐらいはしてるな、せやから昔出てた高い声が出えへん……ほな23回ということにしとこ。そんでええか?」といたずらっぽく目を見開かれた笑顔をいまでも覚えています。
ここ数年、舞台には出ておられませんが、舞台袖から高座を見ると、子供の頃、テレビで見ていた高音で早口の仁鶴師匠ではなく、落ち着いた口調と独特の間合いで話される舞台の姿を見ているだけで、思わず口元が緩んでしまう。