著者のコラム一覧
荒木経惟写真家

1940年、東京生まれ。千葉大工学部卒。電通を経て、72年にフリーの写真家となる。国内外で多数の個展を開催。2008年、オーストリア政府から最高位の「科学・芸術勲章」を叙勲。写真集・著作は550冊以上。近著に傘寿記念の書籍「荒木経惟、写真に生きる。荒木経惟、写真に生きる。 (撮影・野村佐紀子)

<8>「今日は小津ですから」と初ライカで撮った笠智衆さん

公開日: 更新日:

 ライカで初めて撮影したのは笠智衆さんなんだ。笠さんを撮ることになって(1991年、『SWITCH』誌の依頼)、笠智衆を撮るんだったらライカで撮らなきゃって、そのときに初めてライカ(M6)を買ったんだよ。

 笠さんの家に行って、最初にね、名刺がわりに出したのがオレの写真集『センチメンタルな旅・冬の旅』。これを、ずっ~と見てくれて、褒められたんだよ。嬉しかったねぇ。その頃、笠さんは病気だったんだ。その日は風邪もひいててね。でも、ちょっと外に行こうって、公園があるからって連れていってくれたんだ。そうしたら元気が出ちゃってさ、やる気十分になっちゃって。「ぼくはこれでもね、お相撲やっていたんだ」って言って、そばにあった木で相撲のテッポウをやってくれた。

 公園にブランコがあったんだ。オレはまた悪い知識があるからさ、笠さんが多くの作品に出演している小津(安二郎)監督とは逆の、黒澤(明)の映画のさ、『生きる』の感じでブランコに乗ってもらってとかさ、思っちゃったの。ちらっと考える。この時代の映画をいっぱい見ているからね。どっちかっていうと、やっぱりオレは小津のほうだからさ。ライカで撮ってね、「今日は小津ですから」って言ったら通じるわけ。小津さんは、しょっちゅうライカで撮っていたらしいからね。それからライカで撮り出したんだよ。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    大阪万博の目玉 344億円の巨大木造リングはほぼフィンランド産…「日本の森林再生のため」の嘘っぱち

  2. 2

    佐々木朗希を徹底解剖する!掛け値なしの評価は? あまり知られていない私生活は?

  3. 3

    大阪万博「歯抜け開幕」ますます現実味…海外パビリオン完成たった6カ国、当日券導入“助け舟”の皮肉

  4. 4

    大柄で足が速くない僕を、なぜPL学園の中村監督はセカンドにしたのか

  5. 5

    大阪万博の「跡地利用」基本計画は“横文字てんこ盛り”で意味不明…それより赤字対策が先ちゃうか?

  1. 6

    目黒蓮「劇場版 トリリオンゲーム」興収の"鈍い伸び"で見えてきた不安…キムタクに追いつく日は来るか?

  2. 7

    上沼恵美子が「中居正広問題」で痛恨の判断ミス…木村拓哉という“地雷”を踏んで大炎上!

  3. 8

    フジテレビ問題の余波がここにも! GACKTの「マジでくだらなすぎる」発言に中居正広ファン突撃

  4. 9

    明石家さんま100億円遺産「やらへん」でIMALU“親ガチャ”失敗も…「芸能界で一番まとも」と絶賛の嵐

  5. 10

    Snow Man目黒蓮「トリリオンゲーム」に早くも2つの難題…CDセールス、視聴率ともに苦戦必至