広瀬すずがCA役 JAL誕生物語「エアガール」は骨太なドラマ
「新しい日航をデッチ上げて政府が半額出資しそうな時に私は反対した。一部の人が計画した赤字続きの会社を半分国民に肩替りするのは怪しからんと。その赤字は益々増えるばかりなのは会社の発表通りだが、国家的にもっともっと金を注ぎ込んで国民経済の再建をやらなくてはならない時に、意地か虚栄か知らないがこんなことに国民の血税が流れ込んでいくかと思うと、ただ呆れかえって腹立つ元気もなくなる」(原文まま)。
こうして見ると、民間企業としての日本航空の発足は、白洲が懸念した通り、時期尚早だったのではなかろうか。余談ながら、歴史は繰り返すというが、日本航空は87年(昭和62年)に再び民営化されたものの、2010年(平成22年)1月に会社更生法の適用を申請し、事業会社としては戦後最大の倒産劇を演じた。その再建のために、金融機関は5215億円にのぼる債権を放棄し、企業再生支援機構から国民の血税3500億円が注入された。ともあれ、白洲次郎ファンも、アンチ白洲次郎も、このドラマの中で松木(松尾)と白洲のバトルがどう描かれるのか、興味津々だろう。
だが、社会全体が閉塞感に覆われる今、そんな堅い話は抜きにして、夢に向かって突き進む広瀬すずたちエアガールのひたむきさに、浮き世の憂さを忘れるのも一興だ。
▽高橋恵市(フリーライター)山口県出身。大学卒業後、出版社勤務を経てライターに。グルメ紹介や企業広報、テレビ番組批評など幅広く手がける。ペンネームで小説も出版している。