ひたすら「感動」をあおる五輪報道 皆はき違えていないか
本当にオリンピックやるんですか?
水泳の池江選手が日本選手権100メートルバタフライで優勝を果たし、東京五輪リレーでの出場権を得た。白血病から2年でのこの成果は奇跡的で、その努力、その精神力には心底頭が下がる。涙のインタビューは感動的で、コロナ禍の暗い世の中、国民に大きな勇気を与えた。
コロナがなければ開催は去年だったわけだからおそらく復活はなかったことを思えば、なんとも予想外の展開で、今回の大会が無事開かれて出場させてあげたいと思うのは人情だろう。ひねくれた私の心にもそういう気持ちはある。
しかし、選手や国民の純粋な気持ちを利用して「よし。これでやれる!」とほくそ笑んでいる不純なやからがその向こうにいるかと思うと、前回の大会で10歳ぐらいだった頃のようなオリンピック万歳と思える少年の気持ちにはなれない自分がいるのだ。それは1年前の国立競技場に池江選手を一人立たせ「2020+1」と謳った、あのピッグ辞任の佐々木氏の演出に違和感を覚えた、物事の裏を見てしまう大人になった自分である。