イタリア映画「ワン・モア・ライフ!」は必見コメディー!
パオロは仕事も家庭も中途半端な、典型的ダメ人間。仲間とのサッカー観戦や、妻のママ友との浮気にうつつを抜かした結果、年頃の娘からは見向きもされていないろくでなしだ。主人公が92分後に再び死ぬとわかっている点では、さしずめイタリア版「100日後に死ぬワニ」といったところだが……。
「この手の話はたいてい“改心”した主人公が劇的に問題解決して死を免れるか、成仏するかの2択です。しかしパウロは“残り時間”がゼロに近づいても、右往左往するばかりで何ひとつ解決する気配がない。しかし映画の最後の数分、日本人の、あるいはハリウッド映画的な価値観と先入観をすべて吹き飛ばすオチが炸裂します。これがイタリア人の人生観と幸福に対する考え方なのかと、震えるほどの衝撃を受けました」(前田氏)
コロナ禍前に作られた映画だが、世の中が暗くよどんだこの時代にこそピッタリな、本物の感動があるという。新時代のイタリア映画として、記憶に残る作品となれるか。