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てれびのスキマ 戸部田誠ライタ―

1978年生まれのテレビっ子ライター。「芸能界」というビジネスは、いかにして始まったのか。貴重な証言を収録した「芸能界誕生」(新潮新書)。伝説の番組「アメリカ横断ウルトラクイズ」を基に描く青春群像ノンフィクションノベル「史上最大の木曜日 クイズっ子たちの青春記」(双葉社)。2つの最新著が絶賛発売中!

渡り合える「強さ」で拭い去った夏目三久の「有吉の壁」

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 この番組で、重要なアクセントになっていたのは間違いなく夏目だ。写真週刊誌の報道をきっかけにフリーに転身して間もなく。当初は「毒舌」な2人のアシスタントなんだから、まだスキャンダラスなイメージのあった彼女がピッタリだろうというような、これまた安易なキャスティングと思われた。

 しかし、彼女はそんなタマではなかった。最初の頃は「収録が終わると頭痛がするんですね。呼吸ができてないんですよ。酸素不足になっていて」(TBS「サワコの朝」17年4月22日)と苦しんでいたそうだが、次第にその“本性”を現していく。

 2人の意見に決して流されず折れず「違いますね」と笑顔で否定するのも珍しくなくなり、「楽屋挨拶は不要」と2人に拒否されても「私はさせていただきます」とかたくなに言ったかと思うと、途中から行かなくなる。その理由を問われると、ふてぶてしく「面倒くさくなった」(「怒り新党」12年4月18日)と言い放つ。

 マネジャーに手作りカレーを差し入れすると言う夏目が、2人から「迷惑だ」と批判されると、「たぶんですけど、お2人がクズなんだと思います」(「怒り新党」13年1月30日)と吐き捨てる。さらに有吉には「拭えない壁」を感じると言うが早いか、「よく人に被害者意識が強すぎるとおっしゃるじゃないですか。あれ、自分ですよね」(「怒り新党」12年7月4日)と、いきなり本質を突いていく。

 そんな有吉の「壁」を拭い去ることができたのは、マツコを含めた2人と渡り合える“強さ”を持った夏目三久だけだったのだ。

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