元検証委員のひとりとして叫ぶ「BPOは存続の危機だ」
ケアといってもLINEや電話、自宅訪問程度。そもそもチーフプロデューサーに自傷行為の事実が報告されたのは3日も経ってからだというのだから論外だ。精神科の受診も提案したともいうが、なにしろ昨年春のこと、新型コロナの感染拡大で見送られたとか。ならばしっかり診てもらい、異常なしの太鼓判が押されてからの放送を、という選択肢は、ハナから度外視されているようだ。
人間ひとりを死に追いやることもできてしまうテレビとSNSの連動は、恐ろしいパワーを秘めている。視聴者をスポンサーの意のままに操ることさえも。局にとっては大変な打ち出の小槌だ。
それゆえか否か、人権委は当該番組に「放送倫理上の問題はある」と指摘はしても、「勧告」を避け、軽い「見解」扱いとした。本来はこの観点での意見書をまとめるべきBPO放送倫理検証委員会は、「テラハ」問題をいまだに放置したままでいる。
このままでは同様の悲劇が繰り返されかねない。私は元検証委員のひとりとして叫ぶ。BPOの存在意義が問われている。