マキタスポーツさん募る故郷への思い「山梨に貢献してデカい自分の銅像を建てたい」

公開日: 更新日:

マキタスポーツさん(タレント/51歳)

 俳優、お笑い芸人、ミュージシャンとして強烈な個性を発揮し、存在感が抜群のマキタスポーツさん(51)。募るのは故郷・山梨への思い。地元に貢献する方法もこの人ならでは。ユニークだ。

 ◇  ◇  ◇

 最近は故郷の山梨県に貢献したいなって考えています。死ぬまでに山梨に自分の銅像を建てたいです(笑い)。

 銅像ってよっぽど地域に貢献した人が、亡くなった後に建てられるものですよね。生きている間に銅像建ててくれよなんて、ダサいでしょ!? でも、僕はバカっぽく話題になって山梨に人が集まってくれたら、それでいいんです。

 去年から地元で「マキタ係長」という15分の冠番組(YBS、土曜深夜0時55分)を始めました。山梨はローカルで発信力が弱いけど、今はネットも利用できるし、TVerでローカル局の番組を見ることもできる。だからこういう番組で構わないんです。ローカルの血の濃さみたいなものがかえって面白おかしく見えることもあるし、山梨ってこんなところで、こんな人たちがいるってことが外に見えたらいい。山梨で発信力のある山梨独自の文化をつくっていきたいんです。だから10年は続けて定着感のある番組を作りたいですね。

 山梨は地元でタレントを育てることをこれまでやってこなかった。何事でも起用されるのは東京で売れて、結果を出した人だけです。それではダメといつも周りに言ってます。

 僕自身は「山梨は僕にとって小さすぎる」なんて根拠不明、自信満々な気持ちで山梨を出ていきましたが、それは地元で芸能の仕事をしたかったけど、その土壌がなかったからです。

 例えば、民放テレビは日テレ系とTBS系の2局しか映らない。僕が高校2年の頃、野球巨人戦しかやっていなかったし、プロレスも全日本プロレスだけ。でも、テレビ朝日の新日本プロレスやテレビ東京の国際プロレスを見ないとサブカルチャーは育たないでしょ。映画だってB級、Z級を見ないとサブカルのセンスなんて身につかないんですよ。

 だから、山梨はサブカルが育たない土壌なんです。年寄りの社会で保守的で、若い人たちのアイデアクラッシャーがいっぱい。そういう面を今までいじられてきてないから山梨の人はそれに気がついてない。自分で鏡を見てきてないので、僕が鏡になればいいと思っています。番組では山梨の悪口をめちゃくちゃ言います。山梨は天然でダメなところがいっぱいあるとか。実はチャーミングなんだけど。たった15分の番組ですが、TVerとかで全国で見られるわけですから、マキタスポーツが山梨でなんだか奇妙な番組やってるぞって、気づいていただけたらいいですね。

名物「無尽」の大フェスティバルをやりたい

 イベントも企画しています。山梨には「無尽」という古くて珍しい制度があります。狭いコミュニティーでお金を積み立てて時々集まってはお酒を飲んだり、困っている人がいたら助けてあげるという相互扶助のシステムです。今や沖縄と福島の一部と山梨にしかない古い慣習ですが、かたくなに守り続けています。山梨の人ならみんな知っている無尽をアップデートさせた「大無尽」というフェスティバルをやりたいんです。地元の企業やいろんな人に参加していただいて、アーティストやお笑い芸人、それに作家さんとか独自の発信力のある人たちにも参加いただき、継続的に開催したいですね。

 コロナ禍で具体的なことは不透明ですけど、オンラインで考えることもできる。山梨独自の目立ち方ができる可能性があると思うんです。県外の人にも知っていただいて山梨の人に自信を持ってもらいたい。山梨はダメで目立たない、地味、頑固、みたいなネガティブな要素をチャーミングに変えていけたらと思っています。

 僕は作家の林真理子さんやレスラーのジャンボ鶴田さんを輩出した地元の伝統校・県立日川高校出身です。でも、卒業して東京へ行ったら学校生活に馴染めず、山梨の方言を指摘されて引きこもってしまった。山梨出身じゃなかったらもっとイケてたと(笑い)、山梨出身が愛憎に転じてしまった。郷土愛が強くなったのは母親が僕が売れる前に亡くなったのがきっかけです。母親は山梨以外を知らない内弁慶な人でした。僕は28歳でデビューして10年以上地中深く潜ってしまい、ようやく仕事に恵まれた芸能人になれた。でも、その姿を母親に見せられなかったという悔いが残りました。

 もうひとつ、祖母の生家が槙田商店という絹織物をやってまして、その家にあった家系図を預かったんです。天保の時代から綿々と明治、大正、昭和と続いていてその末端に僕がいる。感慨深いですね。僕の家族を育ててくれた山梨は面白いだろって言いたくなるじゃないですか。

 そんなわけで、山梨がマキタスポーツの活動以前とそれ以降で変わったねって感じてくれたらうれしい。そのためにも生きている間に僕のデカい銅像ができて話題になったらいいな。

(聞き手=浦上優)

▽マキタスポーツ 1970年1月、山梨県生まれ。98年にお笑い芸人としてデビュー。その後、ドラマや映画で俳優として活躍し、音楽と笑いを融合させた「オトネタ」を提唱。ミュージシャンとしてライブ活動を行っている。

♪「マキタスポーツのオトネタTV~2021夏・オトネタワクチン~」
配信:7月18日19時30分スタート(7月21日21時まで/視聴券2500円/発売時間は変更になる場合あり)
問い合わせ:「Streaming+」、利用ガイド・問い合わせフォーム〈https://eplus.jp/streamingplus-userguide/〉

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