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三枝成彰作曲家

1942年、兵庫県生まれ。東京芸大大学院修了。代表作にオペラ「忠臣蔵」「狂おしき真夏の一日」、NHK大河ドラマ「太平記」「花の乱」、映画「機動戦士ガンダム逆襲のシャア」「優駿ORACIÓN」など。2020年、文化功労者顕彰を受ける。

日本人の「知性低下」を露呈した東京五輪…政治家も官僚も私利私欲に走る

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 こうした“汚れ仕事”やネゴの類いは、政府の看板を背負った人間にはできない。それを何でも屋として請け負うのが広告代理店である。おそらく大阪万博が決まった裏にも、彼らの奔走があったのだろう。

 世界的イベントの開催で“国威発揚”をもくろむ国にとって、誘致は政権の命運を懸けた戦いになる。政府や開催都市による表の交渉とは別に、Aさんのような広告マンたちに裏でロビー活動やバックアップをしてもらえるかどうかで勝負が決まる。

 彼らにとってオリンピックはおいしい仕事だ。スポンサー各社と政府を取り次ぎ、関連イベントの制作進行を請け負い、テレビの放映権と各媒体の広告掲載を管理して莫大(ばくだい)な手数料を手にする。Aさんがいた代理店の社長は全社員に向けて、「東京オリンピックで1兆円を稼ぎ出す」と号令したとか。オリンピックは4年に1度の大きな商機。これにどう食い込むかに社運を懸けているのだろう。

■モラルも消え失せた

 一方、オリンピックで政権の支持率を上げ、次の選挙で勝ちたい政府にとって、広告代理店は便利な存在だ。政治家や役人が表立ってできない面倒なことの一切をカネ次第で丸投げできる彼らを、大いに頼みにしているところだろう。つまり両者の思惑は一致しているというわけだ。国民はまったくの置き去りである。

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