<23>デヴィ夫人を呆れさせた早貴被告の振る舞い
しばらくしてアプリコの番頭役マコやんから相談の電話が来た。私が鮎子さんの携帯に連絡すると、彼女が出た。
「結婚について両親に相談したら、すごく怒られました。いろいろなものをプレゼントしてもらいましたから、全て返却したいと思います。吉田さん、それでなんとかまとめてもらえませんか?」
彼女の慎み深さや優しさが伝わってきた。
「じゃあさ、オレも鮎子さんに連絡できなかったことにするよ。プレゼントは返さなくても問題はないって」
「それで大丈夫ですか?」
「うん、なんとかするから」
ドン・ファンは従業員を東京に行かせて鮎子さん捜しをさせようと画策していた。
「困ったもんやな。彼女を捜し当てたとしても、彼女の意思が変わらないと結婚なんて無理や」
マコやんは何度も私に電話をしてきた。
「社長、ボクも鮎子さんに何度も電話をしましたが、全然連絡が取れません。これは縁がなかったと諦めるのも肝心ではないですか?」