寄稿:藤島メリー泰子さん追悼秘話 おっかない中年夫人の無理難題に良くも悪くも翻弄された

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 そんな厳しさもある一方、お気に入りのマッチ(近藤真彦)にはめっぽう甘く、氏家会長との会食に1時間半遅れで現れたマッチにおとがめなしで「今日のレースはどうだったの?」と溺愛する母のように話しかけた。氏家会長との会食に遅刻する人などまずいない。海外育ちのメリーさんは前近代的だった芸能界にビジネスの概念を持ち込んだ開拓者である一方、タレントへの偏愛ぶりも見せた。これも強力なタレントを次々と生み出す“ジャニーズイズム”なのかもしれない。ある日の会食で、社内事情に詳しくちゃめっ気のある氏家会長が言った。

「メリーさん。そこに座っている吉川は今抗うつ剤を飲んでいるんですよ」

 場の空気が固まった。会長も洒落が過ぎたかなという顔をしている。メリーさんは真剣な顔になり「吉川さん、あなた、心をもっと強くしないと駄目。本当よ」。

 氏家さんがちょっとほほ笑んで言う。

「いや、メリーさん。我が社ではそのくらい本気で仕事しないと生き残れないということですよ。ハハ」

 氏家さんは笑っていたがメリーさんはまだ真顔で私の目を真っすぐに見ながら言った。

「吉川さん。薬なんかに頼っちゃ駄目。気の持ち方一つ。長く、強くタフに生き残って下さいね」

 あの時の強いメリーさんの目力は一生忘れないだろう。

 合掌。

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