鈴木慶一さんは「初期衝動が必要」と力説した
「いつも細野さんの近くにいて、その背中をずっと追い掛けていたのですが……はっぴいえんどは4人が、YMOは3人がちょうどよかったということだったのでしょう。細野さんは、会った時から老成というか、落ち着いたタイプだった。とにかく強力なリズム感の人です。生ギターを弾いても素晴らしい。キーボードもね」
平野 はっぴいえんどの4人は、酒を飲まなかったって本当?
「ツアーで一緒になると私なんて昼間っから飲んでいる。なのに4人とも酒も飲まず、パフェとか食べているんですよ。若い頃、男が集まれば女性の話で花が咲くのが普通でしょ。ところがあの4人は、あのアルバムがどうだとか、何曲目がどうだとか、そんな話ばかり。まあ、我々も音楽の話がメインでしたけどね。女性に助けられました。経済的にも」
「大瀧さんは<音の鳴り>に厳しい人だった。ある録音に呼ばれていくと生ギターが4人いた。言われたね。『おまえ、2弦の音が鳴ってない』って。4人もいるんだから『私の2弦が鳴ってなくても別にいいじゃん』なんて思ったり。何十テークもやらされ、手が痛くなった頃に『今のはいい鳴りだったねぇ~』と言われたらOKという意味でした」