<103>事件当日の野崎幸助さんの電話記録をテレビで証言した「謎の男性」
「こんなヤツはアプリコの従業員におらんし、出入り業者にもおらん」
マコやんはキッパリと断言した。私たちは、この男性は誰かに頼まれて出演していたのだと思っているが、記録では午後7時半だった電話の時間を30分~1時間もずらしたのは何を意味しているのか。社長がその時には生きていたというアリバイを証明しようとしていたのか。それなら正しい時間の午後7時半でもいいではないか。この件は私の頭を悩ませて、いまだに解決はしていない。
アプリコは午後6時に必ずシャッターを閉めて防犯スイッチを入れ、警備会社が確認することになっている。社長はこの時間には社内に誰もいないことを知っているから、電話をかける意味はない。だから、電話した者が犯人の可能性が高いのだ。
事件を取り上げるワイドショーや情報番組のほとんどは、ウラも取らずに情報をタレ流した。
「死にたいと言っていました」
年配の女性は死の3カ月ほど前にドン・ファンと路上で会った時の会話を証言し、それをもとにしてテレビは「自殺の可能性もありますね」とコメンテーターに言わせていた。この女性のことは知っているが、ドン・ファンとは年に数回挨拶を交わす程度の付き合いだ。彼の近況を話す人としては、あまりふさわしくないだろう。