著者のコラム一覧
細田昌志ノンフィクション作家

1971年、岡山市生まれ、鳥取市育ち。CS放送「サムライTV」キャスターから放送作家としてラジオ、テレビの制作に携わり、ノンフィクション作家に。7月に「沢村忠に真空を飛ばせた男 昭和のプロモーター・野口修評伝」(新潮社)が、第43回講談社本田靖春ノンフィクション賞を受賞。

五木ひろしの光と影<18>「先輩、実は新しい芸名が付いたんです」と青年・三谷謙は言った

公開日: 更新日:

 目黒の権之助坂に総工費1億2000万円(現在の価値で約5億円)の自社ビルを建て、日本に数台しかなかったリンカーン・コンチネンタルを乗り回し、下戸なのに毎晩銀座を闊歩した。「金はいくら使っても減らなかった」と野口修は言った。あながち嘘ではないかもしれない。沢村ブームは日本中を席巻していたからだ。

 凡百のプロモーターなら、そこで得た財を次の興行に備えてプールするか、選手のファイトマネーを格段にアップさせるか、設備をさらに整えることに使うかもしれない。もしくは次代のスター発掘のための資金か、キックボクシングの世界進出のために用立てるかもしれない。生前の野口修は「そういうのにも使ったよ。使って使って使いまくった。それでもまだ余っていた」と豪語した。「このとき手元に自由になる金が4億~5億あった」とも言う。現在の価値に換算して12億~15億円といったところだろう。その大金を、彼は芸能部設立につぎ込んだのである。

「ある日、ビル3階のオフィスに顔を出したら見知らぬ青年がいた。社長が『反町、紹介する。歌手の三谷謙君だ。三谷君は今度ウチに所属するんだ』って言うんだよ。野口プロは社長の独断で決めていたけど、大体は沢村さんや俺には報告があった。でも芸能部ができるのはそのとき知った。だから、あれは突然決まった話だと思う」(野口ボクシングクラブ所属のプロボクサーで第11代東洋ウエルター級王者の龍反町)

■関連キーワード

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  2. 2

    米挑戦表明の日本ハム上沢直之がやらかした「痛恨過ぎる悪手」…メジャースカウトが指摘

  3. 3

    陰で糸引く「黒幕」に佐々木朗希が壊される…育成段階でのメジャー挑戦が招く破滅的結末

  4. 4

    9000人をリストラする日産自動車を“買収”するのは三菱商事か、ホンダなのか?

  5. 5

    巨人「FA3人取り」の痛すぎる人的代償…小林誠司はプロテクト漏れ濃厚、秋広優人は当落線上か

  1. 6

    斎藤元彦氏がまさかの“出戻り”知事復帰…兵庫県職員は「さらなるモンスター化」に戦々恐々

  2. 7

    「結婚願望」語りは予防線?それとも…Snow Man目黒蓮ファンがざわつく「犬」と「1年後」

  3. 8

    石破首相「集合写真」欠席に続き会議でも非礼…スマホいじり、座ったまま他国首脳と挨拶…《相手もカチンとくるで》とSNS

  4. 9

    W杯本番で「背番号10」を着ける森保J戦士は誰?久保建英、堂安律、南野拓実らで競争激化必至

  5. 10

    家族も困惑…阪神ドラ1大山悠輔を襲った“金本血縁”騒動