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児玉愛子韓国コラムニスト

韓流エンタメ誌、ガイドブックなどの企画、取材、執筆を行う韓国ウオッチャー。新聞や雑誌、Webサイトで韓国映画を紹介するほか、日韓関係についてのコラムを寄稿。Webマガジン「オトナの毎日」でイラストエッセー【毎日がエンタメ】を連載中。

純愛では満足できない? 韓国では「不倫ドラマ」過激さを増している

公開日: 更新日:

 映画「ユンヒへ」で描かれる“愛の形”は、2000年代初期の韓国社会では到底受け入れられないものだ。当時は今ほど性的マイノリティーやジェンダーの平等に寛容ではなく、ユンヒのようなバツイチ女性に対してもまるで罪人のような風当たりの強さだった。女性の地位向上や生き方が変化を見せたのは、フェミニズムが盛り上がりを見せたこの10年ほどだ。

「ユンヒヘ」の主演女優キム・ヒエは韓国で絶大な人気を誇っている。20年に放送されたドラマ「夫婦の世界」で不倫した夫に復讐する妻を熱演し、同作は「愛の不時着」を超える人気ぶりとなった。

 韓国で姦通罪が廃止されたのはわずか7年前のことで、今も不倫は許されるものではなく、嫌悪されている。にもかかわらず、疑似恋愛できる“不倫ドラマ”となると話は違う。過去には「不倫を美化している」と視聴者から苦情が殺到したドラマもあったが、一方では共感され、シンドロームを巻き起こしていた。

 姦通罪が廃止された今、不倫ドラマはますます過激になり、中には殺人事件に発展している作品もある。良くも悪くも時代は変わった。美しい雪景色を背景に描かれる普通の“純愛”では、視聴者も満足できなくなっているのだ。

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